自然閉経
自然の閉経は、45歳から55歳に徐々に起き、移行期間は個人差があります。生理不順もなく突然止まる人もいますし、頻発月経や稀発月経を経て、徐々に生理が来なくなる人もいます。持続日数も出血量も増えたり減ったり特に法則はなく、心身に苦痛がなければ治療の必要もありません。
苦痛が酷い場合、更年期障害としてその症状を緩和するための治療をうけることはQOLを維持するために大切なので、無理に我慢せず婦人科を受診して医師の適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
また更年期障害がなく閉経に関して治療が必要ない場合でも、半年に一度少なくとも年に一度は婦人科検診を受けるようにしましょう。閉経前の不規則な出血が子宮がんなどによる不正出血である場合も考えられます。
更年期症状として頻度が多いのは「肩こり」「疲れやすい」などですが、卵巣機能低下に起因するとおもわれる症状は「のぼせ」「汗をかく」「イライラ」「不眠」などです。
早発閉経
40歳未満で卵巣機能が低下し月経が3ヶ月以上無い状態を、正式には早発卵巣不全(POI:Premature Ovarian insaficiency)といいます。発症は10代から40歳近くまで幅広く、原発無月経を呈するものも含まれます。原因は、自然発症例の場合は染色体や遺伝子の異常、若い時期からエストロゲン欠乏状態などが考えられます。(2群に大別される医原性症例の場合については次項の人工閉経で述べます)
具体的な調べかたは、無月経である時期に1~2週間間隔で2回の採血を行い、いずれもFSH値が≧40mIU/mLとされる場合、POIと診断されます。
POIの場合、状態としては自然閉経と同じであっても、若いうちの妊孕性の低下やエストロゲン欠乏による健康上の問題に対して治療が必要となり、また生殖機能を失ったメンタルケアの問題もあります。『ホルモン補充療法実践マニュアル』(産科と婦人科・第80巻)によると、「エストロゲン補充がなければ60代で有意な死亡率の上昇が認められるという報告もある。45歳未満の両側卵巣摘出術後の情勢でも冠肝疾による死亡率が上昇するといわれる」とあり、エストロゲン補充の治療が必要になります。
人工閉経
子宮や卵巣が手術で除去されたり外科的に卵巣への血流が断たれたりすることによって、人工的に月経がなくなる状態です。がんの化学療法や放射線療法の副作用による場合もあります。子宮だけが摘出されて卵巣が残っていても月経はないため、子宮摘出も人口閉経に含まれます。
人工閉経でなおかつ40歳未満の場合、前項の早発閉経の医原性症例群とも分類されます。
コメント